お金は働きもの??

年金はあてになるの?貯金の利息はほぼ0円。 パートタイムで働くおばちゃんがやってる老後の資金作りのお話です。過去の経験、今やってること、それから、お金とは関係ない、出来ごとを 書いてます。

76話 🐥 新・新興国 農村の教育

 

政府と人々の努力、外国や国際機関の支援によって、バングラデシュの小学校入学率は、2000年で65%、2010年には77%まで 向上しました。

 

ですが、入学した子供達の半分が中途退学をします。

 

特に、農村では、一家総出の作業が必要となる農産物の刈り入れ時期と 学校の試験時期が重なること、小学校が遠く、雨季になると 子供達が通学するのに小船などに乗らなければ通えない、そして『女子に教育は必要ない』という固定観念があります。

なので、農村の大人の女性のほとんどが 読み書きが出来ず、自分の名前すら書くことが出来ません。

 

バングラデシュ政府は小学校の中途退学をゼロにすることを目標に教員の数、質、学校の設備向上に力を入れてます。

 

ですが、既存の小学校の質を高めても、卒業まで学び続けさせるための工夫をしなければ中途退学は減りません。

 

子供が学校に行く時間があるのであれば その時間は 家の手伝いをさせれば得ることができる利益は大きいのです。

 

どうすれば、子供達が学校を卒業できるか、そして、自らの人生をリードし、国創りの人財へ 子供達を育てられるか?

 

試行錯誤を繰り返して、バングラデシュ政府、草の根のNGO、コミュニティの人々、世界銀行の4者が協働して

『学校へ通っていない子ども達への支援プロジェクト』

を行っています。

 

このプロジェクトは特に農村で小学校を中退した、あるいは、入学出来なかった子供達へ教育の機会を与えるために、村々に小さな教室を創って、小学校を卒業するだけではなく、小学校終了試験に合格し、中学校へ進む力を身につけさせることを目的としてます。

 

村の教室の名前は『アナンダスクール』。

『アナンダ』はベンガル語で『喜び、楽しみ』を意味します。

 

農村で、特に中退率の高い郡に2万3700教室もの『アナンダスクール』が創られました。

 

 

『アナンダスクール』に通う小学生のうち約90%が、小学校修了試験に合格し、70%が中学校へ進学をしています。

 

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                 『アナンダスクール』の授業の様子

 

『アナンダスクール』の中学校進学率は、普通の公立学校の全国平均より高く、また『アナンダスクール』の生徒のうちの100人以上が優秀な成績を上げて、国から奨学金を得て中学へ進学してます。 

 

『アナンダスクール』には、通常の小学校とは異なるこのような特徴があります。

◯教室は1つ。先生は1人。学年も1つです。

◯生徒は25名から35名。公立小学校と比べると少人数です。

◯学校の場所、授業時間、試験の時期、カリキュラムは『アナンダスクール』の運営委員会が村の状況に応じて決めます。運営委員会の委員は『アナンダスクール』に通う子供の母親5人と『アナンダスクール』の先生1人、ほか村議会の女性議員やNGOの職員などです。

◯『アナンダスクール』に通う子供達は1年生〜3年生は毎年800タカ(800円)、4年生〜5年生は970タカの教育手当てが支給されます。(バングラデシュの小学校は5年生までです。)(バングラデシュの平均年収は約3000タカほどです。農村はもっと低いかもしれません。)

教育手当ての支給には少なくても、75%以上の出席率と、担当の先生による学力評価で得ることが条件です。

◯『アナンダスクール』には子供の数に応じて2万5000タカ〜3万タカの補助金が支払われます。補助金は先生の給料、学校の設備、教科書などにあてられます。

 

『アナンダスクール』は、教育手当ての支給により、村の低所得層が子供を通わせる上で発生する機会費用を減らしていること、学校の運営に生徒の母親やコミュニティの代表が関わることで、生徒と親のニーズに応じた運営ができる仕組みが盛り込まれています。

例えば、村々が農産物の収穫で忙しい時期のみ学校開始時刻を遅らせるなど、家庭のニーズに合わせて運営します。

また、先生が毎日、ちゃんと学校へ来てるか、補助金が所定の目的に使われているか、といった学校運営に関するモニタリングも常にコミュニティの目が行き届く仕組みになっています。

 

 

『アナンダスクール』ができるまでには、バングラデシュ政府とNGOの連携の難しさが などの困難がありました。

政府は実績のないNGOに『よそものが荒らしにきた、どうして、よそものの手伝いをしないといけないのか』と、なかなか受け入ようとしませんでした。ですが、バングラデシュ政府だけでは、教育の行き届いていない農村の調査の仕方など、行き届かないことがわかり、政府だけではなくNGOなどと 協力して活動する必要があると 気づきました。

 

『アナンダスクール』の授業終了後、著者が、子供達に『将来の夢は?』と尋ねると

『先生になりたい』

『政治家になりたい』

『僕はお医者さん』

と皆んな大きな夢を持っています。

 

以前は、バングラデシュの貧乏な農家の子供は 農業をやるしかなく、その日暮らしで、一生貧乏でいるしかありまんでした。これからは教育を受けて 将来に夢や希望がもて、大人になってからは やりたいことができ、高収入の仕事に就くことも可能です。

生きるためだけから、生きている間、たくさん楽めるようになります。

 

写真の『アナンダスクール』は、簡素な建物で授業は 床?に座って行っています。とても粗末に見えます。

立派な学校に通って机に向かって 義務教育を受けられる日本はどんなに幸せかと思います。

 

『アナンダスクール』は中途退学をしたままでは開くことのできない、子供達の夢や可能性を育て続けてます。

 

エルセーヌ