お金は働きもの??

年金はあてになるの?貯金の利息はほぼ0円。 パートタイムで働くおばちゃんがやってる老後の資金作りのお話です。過去の経験、今やってること、それから、お金とは関係ない、出来ごとを 書いてます。

47話 🐥 バングラデシュ 、シャムタ村 の深刻な問題

 

少し前に 水道民営化の水道法改正案が、可決されました。

海外では水道民営化によって水道料金が2倍から5倍に急騰するという問題がおきて 低所得者は水道の使用を禁じられ、、不満に耐えられなくなった 住民たちは大規模なデモを起こし、死傷者を出す紛争にまで発展しました。

外資が参入して水道料金を引き上げ、水道料金が支払えない低所得者層は水が飲めずに、衛生上よくない水を飲んで病気になるケースもみられます。

民間の水道事業者が利益ばかり追いかけることにより、【再公営化】になりつつあるだろうという意見もあります。

【水】は人間が生きていくうえで必要です。

水道事業者が民間になると、自分達では、水道会社を選べません。

この先、どうなるのでしょう?

 

生きるのに 必要な【水】の 問題で、以前 読んだ本を、読み返してみました。

バングラデシュの村の水の深刻な問題に関するものです。

 

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バングラデシュの 南西部 インド国境近くにあるシャムタ村は、美しい自然と田園風景が広がる伝統的な村です。

 

1970年のころ

シャムタ村の女性の仕事の1つが、水くみです。

水くみには、1人で 行ってはいけません。

みんなで集まって川や池に水をくみに行きます。

水くみ場までは 遠く、途中、ジャングルがあって、トラや毒へび、ワニなどがいます。

水くみは、女性には、力仕事で、とても危険な仕事です。

 

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この本の著者は このシャムタ村で産まれ育ちました。

著者の家の裏には森があり 大きな木があって、そこには、大きなハヌマン猿が、群れをなしています。ハヌマン猿は、小さな人間の子供を引きずりだして 木の上で投げて遊だりするため 猿に連れて行かれないように 子供の足をロープで結び 窓わくにつないだりしてます。    

猿に子供を連れて行かれると、猿にバナナ、ピーナッツを見せてお引きよせ、その隙に 子供を返してもらいます。

また、大きなヘビが家に住みつくこともあります。😱

シャムタ村の人は森の動物と闘いながら生きているのです。

 

村人は川や池の水を料理や飲み水としてましたが、川や池の水によって、コレラや腸チフス赤痢などで、命を落とす人がたくさんいたため、バングラデシュ政府は 井戸の水を飲むように方針をかえました。

 

1997年のころ

ある日、村人の身体中に白や黒の斑点ができ、手足には硬いイボの様なものができました。

近所の人達はうつることを恐れて、その人と家族に近づかないようになりました。

日が経つにつれ、身体は弱り、立つこともできなくなり、亡くなりました。

 

この症状は、次々に他の村人に、襲いかかります。

そして、同じように弱って痩せていきます。

身体から膿がでて その臭いは、耐えられないほど臭いです。

立つことができなくなり、仕事ができなくなり、収入がなくなり、生活が苦しくなり、それが原因で離婚など、家族崩壊が起きてしまいます。

 

村人は、

アッラーの祟りだー、日頃のおこないが悪いからだ!!」

とお祈りをします。

 

この本の著者は、バングラデシュの村の女性では珍しく、高校レベルの教育を受け、村の子供達の家庭教師をしてました。

その当時、ほとんどのバングラデシュの村の女性は教育は必要ないとされ、読み書きもできませんし、自分の名前も書けません。

そして、12歳ぐらいなると、お嫁に行きます。

 

著者の家は比較的裕福で、父親は、教育の大切さを知っていて、娘に高校まで行かせました。

 

著者が家庭教師をしてた1人の子に身体に黒い斑点と手足に硬いイボできました。母親は、心配と悲しさのあまり泣き崩れました。著者はすぐに首都ダッカの設備の整った病院に行くよう促し、病院に連れていきました。 

病院でたまたま取材をしてた 新聞記者に会い、その子の母は、村でこの症状が蔓延して 何人も亡くなっていることを新聞記者に話しました。

その新聞記事が、国立予防社会医学研究所の医師達の目にとまり、医師達がシャムタ村に訪れます。

 

しかし、その子は手遅れでした。

 

国立予防社会医学研究所の医師達が、シャムタ村を訪れ、患者の症状から砒素中毒を疑いました。

インドにもシャムタ村と同じ症状の患者が多数でていて、その原因がチューブウエル(細い管でできた浅い井戸)で汲み取った水に含まれた砒素が原因だと明らかになってました。

そこで医師達はシャムタ村を新たな砒素汚染対象地と選出することにしました。

そのころ、日本の宮崎県土呂久の鉱山で、亜砒酸猛毒砒素中毒で沢山の人が命を落としたという砒素問題がおきていて、その支援をしてる アジア砒素ネットワークから バングラデシュの砒素調査依頼があり、国立予防社会医学研究所の医師達と日本のアジア砒素ネットワークで手を組むことなります。

そして、著者も、活動に参加します。

 

ある日、著者も初期の砒素中毒にかかっていることがわかりました。

著者は飲み水をかえれば治ることを知っていたので怖くありませんでした。砒素に汚染されてない水にかえれば大丈夫なことを知ってたので全く怖くありませんでした。

 

活動では、

安全な水の供給をするために、

池の水をろ過して利用する、PSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)を建設する池を調査しました。

行水、牛やヤギを洗う、洗濯、食器洗いに使われてない池。魚の養殖、カモが泳いでいるところもいけません。

 

砒素中毒の度合いと栄養摂取との関係を知るために 村人の食事生活を 一日中何を食べてるか間食まで観察しました。

そこで、砒素中毒になる人の食事情は、タンパク質の摂取量が少なく、肉や魚を食べてないことがわかりました。

 

チューブウエル(細い管でできた浅い井戸)からは許容値をはるかに超える砒素か含まれてることがわかりました。

 

砒素汚染による健康被害の深刻さが明らかになり、緊急に予防策をとる必要がありました。

 

また、著者は砒素を学ぶために日本を訪れました。

日本は整然として清潔なのに驚きました。

横浜は車が溢れているのに とても 静かです。

バングラデシュの首都ダッカは、街中 人がたくさん行き来してます。そこら中に ゴミが捨ててあります。力車(人力自転車)や、古い車が多く走り、信号も、交通ルールもないため、クラクションが常に鳴り響ています。人の声も大きく、良く言えば 活気あり賑やかです。

フォーラムでは、日本の砒素中毒者にも会い、みずからもスピーチをしました。

そのスピーチで著者は【砒素センター】を設置するという夢を語りました。

そして、日本もバングラデシュと同じように、苦しみを胸に秘めていることを知りました。

 

著者はバングラデシュに戻り、

シャムタ村 以外 の村でも砒素汚染の調査をします。

チューブウエル(細い管でできた浅い井戸)で砒素の基準値50ppbを超えるとチューブウエル(細い管でできた浅い井戸)を赤色に塗り、その水を使わないように村人を説得します。

高額なお金ををだしてチューブウエル(細い管でできた浅い井戸)をつくったのに、砒素などあるわけがない!と、調査を嫌がり怒りだす人もいました。なんとか、説得をし、調査をし、大幅に砒素があり、赤色で塗ってると、

「自分の服を脱いでペンキを落とせ!」

と怒る人もいました。

 

砒素マップをつくり、何処に砒素があるか一目でわかるようにしました。

そして、安全な水を供給するPSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)のような代替水源を設置し、維持管理をするため利用組合を立ち上げ、維持管理の大切さを村人に啓発に回ります。

 

砒素の怖さを村人に知らせます。

 

さまざまなな啓発活動をしますが、砒素患者がいない村では、砒素について、興味をもつ人はがいないところもありました。

人を集めようと声をかけても、なかなか、集まって話を聞こうとしてくれません。

でも、なんとか人が集まると、みんな真剣に聞いてくれました。

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砒素中毒を知ってもらうためにシャムタ村から患者を連れてきたりもしました。

砒素中毒の恐ろしい症状を目の当たりにして、ようやく、耳を傾けてくれ、村人は、やっと赤い色のチューブウエルの水飲まなくなっていきます。

人を集め 啓発活動をしてると1人の女性が立ち去りました。

後で別の女性に事情を聞くと、ここに来たことで夫に激怒され殴られているというのです。

バングラデシュは、男性の力がとても強く、特に村では 夫の指示に従わない嫁は、暴力や、家から追い出されたりします。ほとんどの女性は、教育を受けておらず、仕事をしてお金を稼ぐことを したことが無いので、1人で生活は出来ません。なので、夫に 見捨てられるのがを恐れ、夫に見捨てられないように、従わないといけないのです。

 

著者は、砒素について、まず、男性と子供から知ってもらわないといけないと考えました。

どうすれば簡単に興味を持ってもらえるかを考え、砒素に関する【ゴンビラ】を企画します。

【ゴンビラ】は、音楽に合わせて行う小規模な演劇です。村人達はゴンビラをみるのが大好きです。

役者はおじいさんと孫です。孫が音楽に合わせておじいさんに砒素について質問をします。おじいさんは、リズムに合わせて答えます。ところどころで冗談や洒落を入れて笑わせます。

村人はこうした娯楽が大好きです。

こうして人々は、砒素中毒や砒素問題について、知るようになりました。

ゴンビラ効果は絶大でした。

 

また、学校を訪れて、フリップチャートて説明をしました。これはとても大切です。なぜなら、子供は学校で習ったたことを両親に話すからです。

直接、両親に話すより効果的だったりします。

 

家々を回り女性達に食べ物の栄養について説明をしました。

 

啓発活動のかたわら、代替水源の設置場所の選定作業も進められました。

チューブウエルの水が高い濃度の砒素に汚染されてる地域にディープチューブウエル(深い管井戸)やPSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)や濾過装置を取り付けた改良ダグウェル(掘井戸)などを設置しました。

 

利用組合立ち上げ、建設費用の10%を徴収して、建設に取り組みます。

水を利用する人は、毎月利用料10タカ(当時1タカ2円)を支払います。

住民が組織する運営委員会を立ち上げて 利用料でPSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)などの管理をします。

 

並行して、砒素患者の健康管理も行います。

日本の 味の素も、食事の栄養に係る面で支援をしてます。

 

これらのプロジェクトは、アジア砒素ネットワーク、宮崎大学、国立予防社会医学研究所の医師達や村人たちの協力で行い、日本の横浜ライオンズクラブからの寄付金を使ってPSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)などを建設し、バングラデシュ政府からは一切資金を貰っていません。

 

村の中には、貧困過ぎて、お金が工面できない家もありましたが、米の収穫時期に大量の米を売り、その売り上げを商人に貸し付けて利息を貰い それで、PSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)などの利用料 10タカ(当時1タカ2円)に充てました。

 

運営委員会と利用者組合がしっかり機能してないと せっかくの代替え水源も機能しなくなります。

 

そして、ついに著者の夢だった、世界で最初の【砒素センター】が完成します。

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砒素センターができて、砒素啓発活動は終了しました。

砒素センターでは砒素中毒患者が定期的にヘルスケアを受けられるようにします。

著者は、以前、横浜で行われたフォーラムに参加し、この夢、砒素センターを設置するという夢について語りました。

建築費の80%を 日本人の寄付により、2013年10月に完成しました。

砒素センターは砒素中毒患者や支援者など、さまざまな関係者があつまり、砒素汚染対策のための経験や知識や、技術を分かち合うための場として建設されました。

砒素センターは世界で初めて総合的な砒素汚染研究と対策および砒素中毒患者の健康管理のための施設です。

 

著者は 今、そこで受付として 忙しく働いています。

 

以前、村に設置したPSF(ポンドサンドフィルタ 砂利や砂でろ過をする装置)などがきちんと機能してるか調査に行くと、

フィルターの砂利をとったり、池の汚れが残ってしまい管理が大変で使い勝ってが悪いと また、チューブウエル(浅い管でできた浅い井戸)を使い出す人がいました。

その問題を解決するために水監視委員を雇用し、何か問題がある時は、すぐに対処する。という仕組みをつくりました。

 

砒素啓発活動によってシャムタ村では新たに砒素中毒患者は出ていません。

ですが、砒素中毒に苦しんでる患者は、まだまだ います。

砒素に関する問題は、解決してません。

 

砒素中毒患者をださないために、建設された公共の水源が問題なく継続して使われていくことを願うのみです。

 

砒素センターでは、地下水の砒素のメカニズムを突き止めるために、

井戸を掘って調査し、砒素の鉱脈を みつけました。

この調査は、今でも情報を収集しています。

 

著者は砒素啓発活動のかたわら

貧しい人のためにと、ユニオン議員に立候補し、26才で当選しました。しかし、議員は、身内を優先にし、貧しい人を後回しにします。

著者が何を、訴えても、声はかき消されます。多くの議員は、貧しい人のための 配給などを横領し、身内や所属する政党のことしか関心がなく めぐまれない人のことは、どうでもよいことを知ります。

砒素患者を助けようと、みずから、重症の患者を8時間 バスに乗せて首都ダッカの病院に連れて行きます。途中、患者におむらしをされたり、その時の大変な様子や、お金のやりくりが大変だったこと、

父や母が亡くなり、辛いときでも、砒素中毒患者のために、尽くしたこと、

自らも軽い砒素中毒になったと、

啓発活動を皆んなのために してるのに、金儲けをしてると村人に疑われ、村から干されたこと、

2000年に大洪水があったこと、初恋のこと、結婚して離婚して、離婚した後に可愛い女子を産んだこと、その子が障害を持ってること、バングラデシュの美しい自然 などなど、目に浮かぶように描かれてました。

 

特に、神さま(アッラー)を信じて、何かあると、神の天罰と思ってる村人たちに 砒素を説明し、納得させるのは、大変で、くじけずに、粘り強く頑張ってる姿に、感動しました。

村人に説明し納得させようとしても、村人がなかなか言うことを聞かない様子に、

私は

『もーう、なぜ分からないの‼️』

と腹が立ってしまいました。

また、活動するスタッフ同士が連携し、助け合わないと、仕事か上手く進まない様子も、私の職場と重なるものがあって、なるほどと思いました。

 

シャムタ村は、今、以前とは全く違うそうです。村人はテレビを見たり携帯電を持つようになり、そして、教育は大切だとわかり、名門、バングラデシュ東京大学ダッカ大学に入った子もいるそうです。

 

🌼  1日も早く、砒素問題が解決しますように。🌼

 

 

ConoHa WING